先月、不動産を購入いただいたお客様から、ある日突然お電話がありました。
「事務所に伺いたいんですけど…」とのこと。
ちょうど私は外出中だったため、「また改めてお越しください」とお伝えしました。
電話を切ったあと、心のどこかで少し不安がよぎりました。
「もしかして、取引のことで不手際があったのかな…?」
「何かトラブルでも起きたのか…?」

不動産の仕事をしていると、こういう時つい身構えてしまうものです。
そして数日後。
お客様が事務所にいらっしゃいました。
私は緊張しながらも、まずは一言聞きました。
「何かありましたでしょうか?」
すると、お客様は笑顔で一言。
「いやぁ、この前はお世話になったから!・・・お中元です。」
正直、驚きました。
「いやいや、私はお中元をいただくようなことはしてませんよ!」と慌てて言うと、
「とてもお世話になったから、気持ちです」と笑顔で差し出してくれました。

こちらとしては、当然ながらお礼を求めて仕事をしているわけではありません。仕事に対する対価は十分に戴いているのですから。
でも、せっかくのご厚意です。ありがたく頂戴しました。
そのお客様は、まだ30代前半の若い男性。
年齢からすると、お中元を贈る習慣があまりない世代かもしれません。
それでもこうしてきちんとお礼を形にされるのは、きっと育ちや環境が良いからなのでしょう。不動産の打ち合わせの時から、謙虚で物静かな好青年だとは感じていました。
私自身、もし立場が逆だったら…正直、ここまでのことはしなかったかもしれません(笑)。いや、絶対しません><
今回の出来事で思ったのは、
「仕事に喜んでもらえた証が、こういう形で返ってくることもある」ということです。
売買契約が終われば、通常はお客様とのやり取りは一段落します。
それなのに、わざわざ時間を作って事務所まで足を運び、品物まで用意してくださる。
それは、仕事の過程や結果にご満足いただけたからこそだと思います。
不動産の仕事は、金額も大きく手続きも面倒、関わる時間も長いもの。
だからこそ、お客様にとっては安心感や信頼感がとても大事になります。
今回の件は、「またこの人にお願いしたい」と思っていただけるような仕事ができた証拠だと、少しだけ自信をもらえた出来事でした。
お中元の包みは、もちろん嬉しかったです。
でも、それ以上に「あなたにお願いして良かった」と感じてもらえたことが、何よりのご褒美でした。